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クリニック設立 ― 開業医が知っておくべきポイントと成功の秘訣
クリニック独立支援
最終更新日 / 2025.09.22

クリニック設立 ― 開業医が知っておくべきポイントと成功の秘訣
クリニックを設立することは、多くの医師にとって大きな挑戦です。
「場所はどこがいいのか」「融資の計画はどう立てるのか」「集患をどう安定させるか」…頭の中では分かっていても、実際に行動に移すと次々に不明点が湧いてきます。
本記事では、従来の記事では触れきれていなかった“不明点が明確になる視点”を提供し、
さらに“もっと専門的に相談したくなる切り口”を交えて解説します。
診療圏調査 ― どこまで深く見るべきか?
開業準備で最初に取り組む診療圏調査。しかし、どの範囲で調べるかで結果は大きく変わります。
- 3km圏の人口・競合医院数 → 表面的な把握には便利だが、現実の来院動線は反映しにくい。
- 車で10分圏内のアクセス調査 → 生活圏の実態を反映できる。特に地方都市ではこちらが有効。
多くの失敗例は「3km圏内で人口が多い」ことに安心してしまい、実際は競合医院のブランド力やアクセス動線に負けてしまうケース。
ここで重要なのは「単なる人口データ」ではなく、患者の行動パターンを踏まえた調査を行うことです。
設備投資と収益性 ― 最新機器は本当に必要か?
開業時にありがちな悩みが「どこまで設備投資をすべきか」。
最新機器を導入すれば一見魅力的に見えますが、その裏には減価償却や維持費がのしかかります。
- 初期投資を抑えてキャッシュフローを守る医院 → 数年後の資金繰りに余裕があり、採用や広告に回せる。
- 高額機器を導入して差別化する医院 → 診療単価は上がるが、集患と価格戦略が噛み合わないとリスクが増す。
つまり「導入すべきかどうか」ではなく、経営戦略と回収プランに沿っているかどうかが判断基準となります。
保険診療と自由診療 ― 収益の二本柱の設計
安定的な経営を目指すなら、保険診療と自由診療のバランスをどう取るかが重要です。
- 保険診療主体 → 安定はするが、大幅な利益拡大は難しい。
- 自由診療拡張 → 美容・予防・先進医療を組み合わせれば高収益化できるが、広告や人材投資が必須。
「開業後にどちらへ舵を切るのか」を、設立前に仮説ベースで設計しておくことが、数年後の成否を分けます。
よく見落とされる開業時の不明点
現場で実際に開業した先生方がつまずきやすいポイントを整理すると、次の3つに集約されます。
- 患者動線設計 診療スペースや受付の配置だけでなく、待ち時間・案内表示・予約システムとの統合が患者体験を左右します。
- 人件費と教育コスト スタッフ採用は“人数”だけでなく“教育期間と離職率”を想定しないと、運営が不安定になります。
- 広告規制の理解不足 医療広告ガイドラインに触れる表現はNG。開業直後の集患にブレーキがかかることもあります。
これらは教科書的な知識だけでは見えてこない「現場ならではの盲点」です。
成功への実践的施策 ― 専門家が押さえるべき3つの視点
- データドリブン経営 来院者数・紹介率・初診から定期通院への移行率を数値化し、毎月の改善PDCAを回す。
- 差別化テーマの明確化 「酸蝕症専門ケア」「高齢者予防プログラム」など、地域で唯一性を持てる診療領域を設定。
- 制度活用の徹底 医療機器導入補助金やICT化支援など、公的制度を資金計画に組み込む。
まとめ ― 不明点をクリアにし、専門的な一歩を
クリニック開業の成否は、情報の“深さ”と“判断基準”にかかっています。
本記事で紹介したように、診療圏調査の見方、投資と回収の設計、患者動線の工夫などは、表面的な情報だけでは判断できません。
むしろこの記事を読んで「なるほど、まだ知らない論点がある」と気づいた時点で、次のステップは専門的に相談することです。
監修:株式会社マイ・ポジション
本記事は、開業を検討する医師・歯科医師向けに、クリニック設立の不明点と成功のポイントを専門的に解説しています。